3 芳香族アミンとアゾ化合物h
【芳香族アミン】
アンモニアNH3のH原子を炭化水素基で置換した化合物を〔 アミン 〕という。特に置換基がベンゼン環の場合を芳香族アミンという。また,NH2−をアミノ基という。アミンはアンモニアとよく性質が似ており,〔 塩基 〕性を示し酸と反応して塩を作る。
アニリン
アニリンは代表的な芳香族アミンで,水にわずかにしか溶けないが,塩基性を示すため,塩酸にはアニリン塩酸塩を生じて溶ける。また,アニリンは弱塩基であるため,アニリン塩酸塩に強塩基である水酸化ナトリウムを作用させると,アニリンを遊離する。
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アニリンは〔 ニトロベンゼン 〕の還元によって得られる。還元は,〔 スズ 〕と濃塩酸を加え,生成する〔 Sn2+ 〕が〔 Sn4+ 〕になる(酸化する)ことによって起こる。このとき,アニリン塩酸塩となっているので強塩基でアニリンを遊離する。
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アニリンの反応
アニリンに無水酢酸 (CH3CO)2Oを作用させると,アニリンのH原子がアセチル基CH3CO−で置換(アセチル化)され,〔 アセトアニリド 〕が得られる。
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その他,アニリンに〔 二クロム酸カリウム 〕K2Cr2O7の硫酸酸性溶液を作用させると黒色物質のアニリンブラックが得られる。また,アニリンの検出方法として,〔 さらし粉 〕CaCl(ClO)・H2O水溶液を作用させると,赤紫色を呈する。
【アゾ化合物】
ジアゾ化
アニリンに〔 亜硝酸ナトリウム 〕NaNO2と塩酸を作用させると,〔 塩化ベンゼンジアゾニウム 〕の水溶液が得られる。この反応を〔 ジアゾ化 〕という。
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塩化ベンゼンジアゾニウムは分解しやすく,水と反応して窒素とフェノールを生じる。
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ジアゾカップリング反応
塩化ベンゼンジアゾニウム水溶液に〔 ナトリウムフェノキシド 〕を作用させると,橙赤色の〔 p−フェニルアゾフェノール 〕を生じる。
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このように,芳香族ジアゾニウム塩と他の芳香族化合物から〔 アゾ基
〕−N=N−を持った化合物(アゾ化合物)が生じる反応を〔 ジアゾカップリング反応 〕という。また,アゾ化合物は一般に〔 黄色〜赤色 〕をしており,染料や顔料として用いられる。
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